〜 エムブレム 著作権を考える 〜

 

ご存知、佐野研二氏の上記デザインがベルギーの劇場のロゴと酷似しているという問題に端を発した一貫した諸問題を考えてみたい。

1、著作権 という権利

著作物の定義は思想や感情を創作的に表現したものである。つまりロゴデザインは明らかに著作物であり著作権という権利が発生している。(商標登録も今現在登録されていない)著作権は「相対的権利」とされ特許権の「絶対的独占権」とは根本的に考え方が違う。

2、著作権の権利侵害要件とは

⑴ 被告の著作物が原告の著作物に依拠して創作された

⑵ 被告の著作物が原告の著作物と類似している

⑶ 著作権法に定める利用行為を行ったこと

簡単に言うと「ある人間が、他人の著作物を模倣して、似たような著作物を利用して利益を得る」行為が著作権侵害と言えるのである。

この要件において一番立証が難しいのは、⑴の「依拠性」である。原告側は被告が自分のオリジナルを模倣したという根拠を示さなければならない。

3、著作権 の重要性と啓蒙

いずれにせよ、今回の問題もTPPにおいても「著作権」の重要性は益々大切になってくるし、皆様のように「著作権を勉強している」ということが世の中にとって、とても大切な時代なのである。

4、さらに重要な著作権の立証

佐野氏もベルギーの美術館も有名だから自分の著作権の主張が容易であるが、

我々一般人が「自分の著作権を主張するのは至難」である。そこで重要なのが当オフィスの「日米コピーライト申請」という事になる。

この申請で「創作者・創作物・創作日」の第三者証明ができるから自分の著作権の主張が容易になるのだ。日本は「無方式主義」(どこにも登録しなくていいよ。創作した時点で著作権は発生しているから)という制度だが、実際には米国のように登録していないといざというときに役に立たない。

従って、日本の場合、当オフィスのような団体を活用するか、米国の「米国著作権局」への申請が必要なのだ。各々が改めてその重要性を考えたい。

 

            《著作権権利侵害要件の詳細》

著作権の帰属

 著作権侵害訴訟において、原告が著作権侵害の主張をする場合、まず原告は、自己が著作権者であることを証明・主張する必要があります。また、その他、

1、被告の著作物が原告の著作物に依拠して創作されたこと

2、被告の著作物が原告の著作物と類似すること

3、被告が著作権法に定める利用行為を行ったこと

 以上三点の主張・立証することが必要となります。

《説 明》

依拠性

 著作権は、特許権と違い相対権であるため、著作権侵害が成立するためには、被告の著作物が原告の著作物に依拠(ある表現に基づかれている・依存されている)して作成されたことが必要となります。依拠性の認定は、類似点の程度、被疑侵害者の社会的立場、創作性の高低等をもとに総合的に判断されます。

類似性

1、判例の判断基準 

著作権侵害が認められるためには、被告の著作物が原告の著作物と類似性を有することが必要です。この点、判例では「他人の著作物における表現形式上の本質的な特徴を直接感得できるかどうか」との基準によって類似性の有無を判断しています。

2、表現の共通性

類似性が肯定される為には、著作物の「表現」が共通している必要があり、アイデアが共通するにすぎない場合には類似性が否定されます。

3、創作的部分の共通性

類似性が肯定される為には、著作物の「創作的」部分が共通している必要があり、創作性のないありふれた部分が共通するにすぎない場合には類似性が否定されます。

4、創作性の高低と類似性判断

近年、類似性の判断にあたり、著作物の創作性の高低を考慮する裁判例が現れ注目されています。この考えによれば、創作性の高い著作物については、類似性が肯定されやすくなり、創作性がそれほど高くない著作物に類似性が肯定されにくくなります。かかる判断手段は意匠の類否判断の手法と近似しています。 

                                      以上